高3の春
父は離婚後、
同じ市内で暮らしていました
時々、父の家にも
顔を見に行っていました
しばらくバイトで忙しくて
父に会いに行けない時期がありました
そんな時、父と道で偶然会いました
別人かと思うぐらい
歩き方に違和感がありました
怖かったのでまたしばらく
父に会いにいきませんでした
それでも気になっていたので
ある日、父の家を訪問しました
居間に座った父は
私に向かって言いました
「奥でゆきえが寝てるから静かにしてくれ」
衝撃でした
私のことわかってない
部屋の奥に丸まった毛布を指差して
私が寝ていると言いました
怖くて
逃げました
家に帰って母に報告
その後、祖母に連絡が行き、
父が入院したと聞きました
パーキンソン病
だったそうです
かなり進行していて
すでに脳も萎縮していたそうです
4ヶ月後
バイト先に叔母がやってきました
「お父さん亡くなったから
帰らせてもらいなさい」
私はバイトの方が大事でした
帰らないと伝えて仕事していました
店長から
帰るように言われ、
仕方なく帰りました
母と叔母に連れられて
父のお通夜に行きました
父方の祖母からは
内容は覚えてないけど
なにやら酷いことを言われました
誰かから
父の顔を見るように言われましたが
見たくなかったので
見ませんでした
辛いというより
ホッとしました
これで私の背負うものが
一つ減った
父は私をとても可愛がっていました
歳をとってからできた女の子
どこにでも私を連れて行きました
スナックや喫茶店
父の友人宅
父に関わる人たちみんなに
私を見せて
可愛いねーと言ってもらい
父は嬉しそうでした
私は愛されていたのに
働かなくなったこと
進学させてくれなかったこと
物を投げつけられたこと
お金を使い込まれたこと
そればかりに意識がいき、
愛されていたことを
ずっと忘れていました
亡くなった時も
悲しい感情が出ませんでした
最近、父のことを思い出して
やっと涙が出てきました